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43◆第三放送 勇気凛々は待っていた。 スナック菓子を食べながら待っていた。 ゲームセンターと服屋の間の、細い通路に置かれたベンチに座って、 狭所に隠れるように待つ勇気凛々のそばには、スナック菓子の袋と置手紙があった。 置手紙は、「戻ってくるまで待っていて」。 話だけをするつもりじゃないだろうに、わざわざそう書いてあった。 従いたくなかった、従いたくなかったけれど……勇気凛々は、待つことにした。 待つほうが正しいだなんて、絶対に思いたくない。 けれどそれでも、今回だけは、 勇気凛々は、紆余曲折と一刀両断の二人の世界を、 彼らが二人だけで世界を書き切ってしまうことを、尊重した。 だって彼らは、ほかならぬ勇気凛々のためにそれを選択するのだから。 止められるわけがない。 これを止められる奴がいたら、よっぽどの馬鹿かヒーローだ。 「……」 スナック菓子をつまんで口に運ぶ。 涙辛い味も通り過ぎて、今はただ乾いた味だ。 置き手紙には、優柔不断が死んだことも書いてあった。 いま食べているスナック菓子の袋は、優柔不断のデイパックから調達したものだという。 開始当初に食料品を調達していたのが最終戦メンバ―の中では優柔不断だけだったのは勇気凛々も確認している。 だから本当の事だ。 死ぬところを見たわけでもなく、死んだと声で告げられたわけでもなく、 何もできないまま、勇気凛々を助けてくれた青年は、スナック菓子を残して本当に死んだ。 勇気凛々には何もできなかった。 思えばなにもできなかった、あのときも、あのときも、あのときだって。 むしろ迷惑をかけ、邪魔して、間違ってばかりだった。 なんでこんな自分が生き残っているのだろうか。 死ななかったし、死ねなかったのだろうか。 スナック菓子を口に含んで噛みながら、ずっとそればかりを考えていた。 でもやっぱり答えを出すことも出来なくて、ただ気が遠くなるくらいに時間だけが過ぎていって、 時計はないからどのくらいだか分からないけど、少なくとも、スナック菓子の数だけは減っていって。 勇気凛々は最後の一つを取った。 ――その最後のスナックが、不意に横からかすめ取られる。 「え?」 「もぐもぐ」 驚いて横を見れば、そこには見たことのない存在がいた。 「え?」 驚いて目を瞬かせて、やはりそこには見たことのない幼女がいた。 「もぐもぐ。ねーおねーちゃん、これおいしいね」 「だ、誰ですかあなた!」 「うん、すっごくおいしいよ。まえもどこかで食べた気がするあじ」 「ちょっ、と、話……を?」 驚いて手を伸ばすと、よく出来た3D映像だとか、霊だとか、そういう可能性は霧散した。 ぷに、とその頬には触れることができた。――生きていた。 突然現れた第三者、第三放送の直前に現れたそれは、 幼稚園児が切るようなかわいげなフリルのピンクの服を着た、小学生前後の黒髪の幼女で。 「だれだろうね」 「……え?」 「わたしはだれなんだろう。なんで“ずっとここにいる”んだろう。 わたし、じゅうなんねんも、なにを“待っている”んだろう。わかんないんだよね、わたし」 「待って、いる……?」 「うん。“じぶんを無くして ゆめのなか”。ここはわたしのゆめのなか。 わかっているのはみっつだけ。 ひとつはわたし、どうやらスナック菓子が大好きだってこと。ふたつめは、わたしはここからでられないし、 ここに来たひとの前にあらわれることができるのは、のこりがふたりになったときだけなんだってこと」 そして。彼女こそが。 「それで、みっつめは」 「三つ目は――きまりごと。ここに来た人は自分を失くす。そういうルールで、きまりごと。なんだよね」 この娯楽施設の管理人であり、この世界の、ルールだった。 「……紆余さん!」 「あっ、もうひとりだー。こんにちは」 「ただいま、凛々ちゃん。そして……無我夢中ちゃん」 ゆえに。 ボロボロになりながら遅れてその場に現れた少年は、 無我夢中を、ルールを真っ直ぐに見つめて、宣言する。 「いきなりで悪いけど、無我夢中ちゃん。 僕らは、君の求めている二人じゃないんだ。だから――ここを出させてもらうよ」 紆余曲折の声が言いきられるとともに、放送が始まった。 ◆ マイクテストも必要ないでしょう。なんなら放送も、必要がないくらいですね。 もう生き残りは一か所に集まって、誰が生きていて誰が死んでるのかまるわかりなんですからねえ。 それでも仕事は仕事、事務的にまずは死者から♪ 青息吐息 傍若無人 切磋琢磨 優柔不断 そして、一刀両断。 以上が今回、死亡した四字熟語です。いやあ、楽しませてもらいましたとも。 あとは禁止エリア、これはもうただの追加情報みたいなものですね。 C-1 C-2。 ここが今回指定される禁止エリアです。 残っている施設部分の全てとなりますから、生き残ったお二方はお早めに逃げ出してくださいね。 さて、第三放送もこれにて終わり。 生き残りはたった二人となりまして、もう放送の条件以下の人数しかおりません。 おめでとうございます。もうあなたたちがスピーカー越しの私の声を聞くことはないでしょう。 あとは最後のひとりになるまで―――― ……え? 三人いるって? 突然もう1人、ボーナスキャラじみて現れたと? それはびっくりですねえ、さぷらいずですね♪ なーんてね (舌打ち) 知っているんでしょう、もう聞いたんでしょう、傍若無人から。 紆余曲折さん、あなたの持っているその紙に――すべて書いてあるんでしょう? なら私がわざわざ説明することもないんじゃあないですかねぇ? ああまあ、それでも事務ですので説明はしますとも。 その子は無我夢中。 かつて誰かにこの場所に置いてけぼりにされ、それからずっと誰かを待つ少女。 待っているうちに、誰を待っているのかも、自分が誰なのかも忘れてしまった、四字熟語。 そう、この娯楽施設は、彼女の……彼女の、夢の中に作られた施設です。 そして私は、彼女の夢から覚めるための出口を、とある場所に隠しました。 たった今からそれを解禁します。 通れるのはオヒトリサマだけですが。 最後の希望にすがって、せいぜいサガシテクダサイナ。 うーん棒読み。……教えるの厳禁にしたはずなのに、 もう解かれてるんだからつまらないですよねぇ。これでラスト二人を絶望させて、 どんなに信じあった二人だろうと殺し合いで終わらせるってのが常套手段だったんですが……。 ま、いいですよ。消化試合を許せるくらいには、今回の実験は面白かったですし。 データもたくさん取れて大満足、結果も上々で研究は大躍進。 主催として参加者に、少々出し抜かれるくらいのご褒美はあげてもいいでしょう♪ あ、でもひとつだけ。紆余曲折さんにはお願いです。 “まだ教えないでくださいね”? それは私が、ちゃんと直接。内々に伝えたいので。 もし私の最後の楽しみを奪ったら……許しませんよ? では、お待ちしております ◆ 「……という、ことなんだ」 「……そうなんだー。じゃあ、おわかれだね」 「また私が話に加われない流れですかこれ?」 ◆ カーペット地の床。 紆余曲折と勇気凛々が並んで歩く。 どちらも何といったらいいのか分からないといった様子で、非常にぎくしゃくしている。 おあずけ状態の勇気凛々については、どちらかといえばむかむかしている。 その後ろを、しばらく無我夢中はひょこひょこと、名残惜しそうに付いてきていた。 でも、娯楽施設の入り口。 一刀両断が少し前にガラスを切り倒して侵入した中央入口まで来たところで、 小さな少女の足は止まり、それ以上は進まなかった。 「あー。ここまでかー」 「……そうだね。君は施設から出られない。待たなきゃいけないから。 でも僕たちは……生きるためにここから出なきゃいけない。君をまた、置いていく」 「私は話に置いてけぼりです」 「えー。せっかくひさしぶりに人に会えたんだから、あそびたかったなあー。 前のおじさんたちはあそんでくれたのに、おにいちゃんたち、せっかちだよ」 間の抜けた声で話す無我夢中の姿は霊体じみて消えゆく。 「き、消え……!?」 「うん、おねーちゃん。わたしはまた消えるの」 施設から二人が出ていくことで、出現条件が満たされなくなり、またフラグが立つ前の状態に戻るのだ。 勇気凛々が驚く横で、もう“知っていた”紆余曲折と無我夢中の反応はそう大きくは無かった。 「ごめんね、無我夢中ちゃん。いつかきっと、また来るから」 「え? こんなところにどうしてわざわざくるのー?」 もっともな疑問を投げる無我夢中に、紆余曲折は目を逸らしながら言う。 「それが、約束(ルール)のひとつ、だからね」 「……?」 「助けてあげてくれと書かれたんだ。僕のしらないところで勝手に書かれた僕への連絡事項にさ。 だから僕は、君の事を助けなきゃいけない……まあ、できたら、だけどね……」 「びみょうにだんていてきじゃないあたりがちょっとこわいね~。……でも、うん。じゃあ、やくそくね!」 「うん、約束だ」 「「ゆびきりげんまん。紆余曲折は必ず、無我夢中を助ける」」 ――嘘ついたら? ――ハリセンボン呑ます! ――魚なんですか……? と、小さな約束が交わされて。 そして――本当の本当に舞台装置でしかない彼女は、 そこで再び煙のように施設の空気に溶けて消えた。 娯楽施設が禁止エリアになる。 娯楽施設から、生者が消える。 遺されたのは未熟な少年と、消えた少女よりは少し大きく、でも幼い少女。 そしてたった3エリアの、駐車場。 ◆ 「それで」 口を閉ざしていた鈴留めのポニーテール、勇気凛々は切り出す。 「私は何から聞けばいいんですか、紆余さん」 「――だいたいのことは、悪いけど教えられない。 この傍若無人からの連絡事項も、見せることは今禁じられちゃった」 紆余曲折がぺらり、と懐から紙を出す。 勇気凛々の所に赤い目印をつけた傍若無人の特別名簿、 その裏に書かれたクリティカルな情報は、たった今主催から共有を禁じられてしまった。 曰く、そのほうが楽しいからというレベルのひどい理由で。 「ごめん。本当にこれに関しては、ごめんと言うしかないと思う。 せめて今、先に言ってしまえば、凛々ちゃんへのダメージも少しは減らせると思うんだけど……」 「回りくどい言い方にしかなってないですよ、紆余さん。 もう分かりましたから。“私がなんで傍若無人に守られてたのか。”これは言えないってことでしょう? 私にだけ伝えてはいけないとされる情報はこれくらいだと思いますし」 「いや、その……さっきの女の子のこととかも、たぶんダメなんだよね……」 「……え? あの子と私になにか関係があるんですか? それこそおかしい話、ですけど……だって、確か奇々怪々は……」 「あーあー、えっと! そこを詰めすぎると怒られそうだから、ちょっと待った!」 慌てふためいた紆余曲折に勇気凛々は閉口する。 もう追求しない方がいい話題だと判断したのだろう。正解だ。 紆余曲折は今のうちとばかりにまくしたてる。 「……奇々怪々は嘘は言ってない。彼女の言葉は確かにルールだった。 でもね、ルールにはいつだって、抜け穴があるものなんだ。隙のないルールなんてない。 ひねくれた解釈をして……自分の都合のいいように捻じ曲げることが、いくらだって出来る」 ルールってものはそういうものなんだ、と一拍。 「その上で。僕がいま、とりあえず言えるのは、……脱出口の場所だけなんだ」 「さっきの放送で、もう解かれてると言われていたやつですか?」 「うん。まずは脱出口の場所に行こう。推理も道ながら話すし、そこまで行けば話せることも増える」 「……釈然としませんが、そう言われては返す言葉も……いえ」 歩き出した紆余曲折を追いかけようとした勇気凛々が、足を止める。 「ひとつだけ。加えて訊いてもいいですか、紆余さん」 「答えられることなら答えるよ」 「一刀、両断さんは」 その四字熟語を呟くと、紆余曲折が目を見開いた。 「あのひとは……どうやって逝ったんですか」 「……」 「それに……優柔不断さんのことも。何か聞いていたらでいいんです。教えてくれませんか。 みんなに生かされた私が……生かしてくれた人がどうやって死んだかを。 どんな言葉を最後に言ってたのか、どんな表情で逝ってしまったのかを、知らないままだなんて。 嫌です、そんなのは。私は、私は……守られてばっかりだったけれど。 だからこそ、私を守ってくれた人のことを、全部背負いたい。それが私の、勇気凛々(いきかた)なんです」 胸を張って言われた紆余曲折は、伏し目がちにため息を吐く。 「……そうだね。僕の配慮が足りなかった。それについても、道すがら話すよ」 「はい」 「だから、行こう。もう僕は、周り道をしたくない気分なんだ」 「わかりました。で……どこに行くんですか?」 「A-3。僕の推理が正しければ、そこに脱出口はあるはずだよ」 A-3といえば地図の左下であり、娯楽施設からもっとも遠い場所だ。 見たところ駐車場しかないし、意識的にも立ち寄る意味がまったくないエリア。 何かを隠すにはもってこいの場所といえるだろう。 それでいて、残り3エリアになるまで禁止エリアにもなっていない。 さらに言えば、傍若無人の初期位置もこのエリアだったことが、特製地図から読み取れる。 「確かに……これだけ状況証拠がそろえばもう決まりといってもいいですね」 「それだけじゃないよ。もう一つ、確定的なヒントが、この紙には書いてあった」 曰く――“脱出口に至るチャンスは、参加者全員に存在していた”。 「これを踏まえて、すべての要素を照らし合わせれば。 脱出口はA-3エリアにある、“あるラインの上”に間違いなくあることが分かるんだ」 「……?」 「と言っても、タクマさんから聞いてなかったら、僕も思い至らなかったんだけどね……」 紆余曲折は言いながら、傍若無人の名簿の一点を指差す。 顔写真付き名簿に載せられたひとつの四字熟語。 オレンジのヘルメット風帽子を被った、チャイナ服の小柄な老人――東奔西走。 彼の初期位置はA-2と書かれており。 そして、そのルール能力は――“東西にしか動けない”。 東奔西走は、“初期位置の東西にしか、自力では動くことが出来ない”。 つまり。 脱出口に至るチャンスが、参加者全員に存在しているのならば。 東奔西走が“ひとりで”脱出できるような位置に脱出口が無ければ、おかしいのだ。 「きっと、外周に近い茂みの中だと僕は思う。 普通は探さないし、どう手をつければいいのかも分からないところだから。 どういう形で開いてるのかは分からないけど、それは実際に見てみようってことで――」 「……はい」 いろいろあったけど。 もう行こう。 紆余曲折が差し出した手を、勇気凛々は握った。 【一刀両断 死亡】 【無我夢中 フラグ消去のため再退場】 【残り――二名】 別れ言葉 前のお話 次のお話 遊戯終了 前のお話 四字熟語 次のお話 別れ言葉 紆余曲折 遊戯終了 別れ言葉 勇気凛々 遊戯終了 用語解説 【無我夢中】 あることにすっかり心を奪われて我を忘れてしまうさま。 長い期間この作品を書いてきましたが、筆者もまた無我夢中だったのかもしれません。 そして、この作品の登場人物もまた違う意味で無我夢中でした。というオチ。 とはいえただの夢では、終わりません。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
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批評 [音楽の使い方] [書かれた文字] ○「十人十色」の字が特に良い ×明らかに百人百様、千差万別の間で字の喧嘩が起きており、みな冷静に書けば上手であろうに、残念である[体の動き] ・勝田の動き、全体的に勢いがあって見ていて心地よい [作品の構図] ×赤の発色が良くない [その他] ○背景の絵が良い、黒い紙を宇宙に見立てるという発想が秀逸 ○短い曲でちゃっちゃと作品を書く作風、好ましく思える ○十、百、千、万という数字の組み合わせ、アイディアが秀逸 反省 [音楽の使い方] [書かれた文字] [体の動き] [作品の構図] [その他]
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暇すぎてしかたないとき更新 傍若無人[ぼうじゃくぶじん] 魑魅魍魎[ちみもうりょう] 色即是空[しきそくぜくう] 合縁奇縁[あいえんきえん] 未来永劫[みらいえいごう] 不老不死[ふろうふし] 豪放磊落[ごうほうらいらく] 四面楚歌[しめんそか] 竜頭蛇尾[りゅうとうだび] 良知良能[りょうちりょうのう] 極楽蜻蛉[ごくらくとんぼ] 孤軍奮闘[こぐんふんとう] 虎視眈々[こしたんたん] 言語道断[ごんごどうだん] 晴耕雨読[せいこううどく] 縦横無尽[じゅうおうむじん] 単純明快[たんじゅんめいかい] 起死回生[きしかいせい] 青息吐息[あおいきといき] 悪戦苦闘[あくせんくとう] 罵詈雑言[ばりぞうごん] 半信半疑[はんしんはんぎ] 反面教師[はんめんきょうし] 因果応報[いんがおうほう] 自画自賛[じがじさん] 自給自足[じきゅうじそく] 平々凡々[へいへいぼんぼん] 変幻自在[へんげんじざい] 平衡感覚[へいこうかんかく] 津々浦々[つつうらうら] 九十九折[つづらおり] 傍若無人[ぼうじゃくぶじん] 人前もはばからず、まるで近くに人がいないかのように勝手気ままに振舞うこと 魑魅魍魎[ちみもうりょう] 山や水に住むいろいろな妖怪 色即是空[しきそくぜくう] 万物はいろいろの形を備えているが、全ては現象であり永劫不変の実体はなく、本質は空である 合縁奇縁[あいえんきえん] 人と人の気が合うのも合わないのも全て不思議な縁だということ 未来永劫[みらいえいごう] 仏教で今後いつまでも続く果てしない時間。永遠・永久 不老不死[ふろうふし] 年を取ることなく、死ぬことがないこと。年を重ねても老人にならずいつまでも行き続けて死なないこと 豪放磊落[ごうほうらいらく] 気持ちがおおらかで神経が太く小さいことにこだわらない様 四面楚歌[しめんそか] 助けがなく、周囲が敵や反対者ばかりであること 竜頭蛇尾[りゅうとうだび] 初めが盛んであるが終わりは振るわないこと 良知良能[りょうちりょうのう] 人間が生まれながらに持っている知識と才能 極楽蜻蛉[ごくらくとんぼ] 何もしなくて気楽な人のこと 孤軍奮闘[こぐんふんとう] 援軍がなく周囲から孤立した少数の群生でよく戦うこと 虎視眈々[こしたんたん] 虎が獲物を鋭い目で見下ろす。野望を遂げようとしてじっと機会を待つ 言語道断[ごんごどうだん] 言葉では言い表せないほど程度が甚だしく悪いこと 晴耕雨読[せいこううどく] 晴れの日は外で畑を耕し、雨の日は室内で読書する。思いのままのんびりと生活をすること 縦横無尽[じゅうおうむじん] 自由自在でとらわれ出ない様子。勝手気ままに振舞う様子。 単純明快[たんじゅんめいかい] 簡単で道筋が明らかであること 起死回生[きしかいせい] 死に瀕したもの、滅びかけているものを再び生き返らせること。もとに戻すこと。 青息吐息[あおいきといき] 非常に困ったときに出す元気のない溜息 悪戦苦闘[あくせんくとう] 死に物狂いの苦しい戦い。困難な状況の中で苦しみながら努力すること 罵詈雑言[ばりぞうごん] 口汚く相手を罵り、悪口を言うこと 半信半疑[はんしんはんぎ] 本当かどうか信じきれない様子。真偽の判断に迷うこと。 反面教師[はんめんきょうし] 戒めとなる悪い手本 因果応報[いんがおうほう] 良い行いをしたものには良い報い、悪い行いをしたものには悪い報いがある。過去、及び前世の因業に応じて果報があると言う事 自画自賛[じがじさん] 自分の書いた絵に自分で賛することから、自分で自分のしたことを褒める事。 自給自足[じきゅうじそく] 自分に必要なものを自分で作り出してまかなうこと。 平々凡々[へいへいぼんぼん] 普通の人と同じで特に変わった点や特色がないこと 変幻自在[へんげんじざい] 自分の思い通りに変化したり、現れたり消えたりすること。 平衡感覚[へいこうかんかく] バランスの取れた考え方や感じ方。 津々浦々[つつうらうら] いたるところの港や海岸。全国くまなくいたるところ。 九十九折[つづらおり] つづらのように山道などが甚だしく曲がりくねっていること
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作成中です・・・ ページ:1 2 3 4 作品 ■▲▼ 十人十色 49 名前:十人十色~その1~ [] 投稿日:03/04/01(火) 19 51 ID FD1F/khJ 人間が十人いた ある人間は空を飛ぶことを願った ある人間は最高の力を持つことを願った ある人間は素晴らしい知能を持つことを願った ある人間はこの世を支配することを願った ある人間は永遠の愛を願った ある人間は永久不変の美貌を願った ある人間は平和な世の中を願った ある人間は楽しみの耐えること無い一生を願った ある人間は孤独を願った 50 名前:十人十色~その2~ [] 投稿日:03/04/01(火) 19 55 ID FD1F/khJ そして、ある人間は永遠の命を願った 人の数だけ夢はある どの夢も美しい そして平等だ そう、平等。 どんな夢にも叶う権利はあるし それは犯されることはない だからあなたが今思っている夢は 誰にも邪魔される権利は無い どうせ一度きりの人生 自分の夢のためにバカになっていいんじゃない? 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 桜散友別 51 名前:桜散友別 [] 投稿日:03/04/01(火) 23 35 ID V1L3w4Xe 桜並木の桜が散り始め、僕らもお開き。 卒業式直前に咲いた桜はもう散り始めた。 今まで事あるごとに四字熟語を造語した。 今回は桜散友別(おうさんゆうべつ)という言葉を考えた。 桜も散れば友、仲間とも別れる。 この言葉を思いついたのは、今日の朝方だった。 卒業式後にかける何かいい言葉はないかと模索した。 朝もやのかかる町の中、桜並木道を走り抜けた。 五枚からなる桜の花が、ひらひらと舞い花びらが一枚ずつ離れた。 友達が花びらに見えた。 不意に涙があふれた。楽しい思い出も喧嘩も失恋さえも美化する、 時の力に驚きながら丘の上で朝日を見た。 友達といれば楽しかった。思い出が増えるたび色々と造語をした。 楽思心刻(らくししんこく)。ありふれた楽しい時の思い出を心に刻むこと。 廃心友優(はいしんゆうゆう)。心が廃れているときほど友の優しさがしみる。 常席親友(じょうせきしんじゅう)。常に隣には親友がいた。 言い表せない思い出もあった。夜中の丘で天体観測。みんなでハモった社会の授業。 告白の順番を決めた、真剣勝負の柔道の授業。僕は結局三位だった…。 そんな日々を過ごした仲間とはこの後何度会えるだろうか。 一人で新しい世界を旅するのは怖いが、今の僕はきっと平気さ。 友達と交わした夢があるから。 「友限会社」をつくろう。 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 六畳独間の焼きそば 52 名前:六畳独間の焼きそば(1) [] 投稿日:03/04/02(水) 00 00 ID B6qcszYB さてこれから焼きそばを作りながら、新しい慣用句でも考えてみようかな。そ うだ四字熟語がいい。そうだそうだそだ四字熟語ってのはいいね。熟って言葉 がなんだか焼きそばに合ってるよ。うふふふふふふ。でもあれだね。新しい熟 語って言い方はあれだね。変だね。熟してないのに熟語ってのはね。いいんだ。 だって、未来には熟するかもしれない言葉なんだからね。つまり、あれだよ。 「未熟晩成」ってことだ。ああ、早速一番目から素晴らしいのができたなぁ。 これは幸先いいぞ。幸先が、いいぞ。「幸先良好」ってとこだ。おお、これも 素晴らしいよ。素晴らしいよ、僕って。うふふふふふ。だいたい、あれなんだ よね。出来てすぐに熟しちゃうってのもあるんだしね。新しい熟語、いいじゃ ないの。そうそう。すぐに熟しちゃうってのもある。つまり「早熟少年」ね。 ちょっとこれは滑ったかな。あははは。まぁ、いいよね。うん、いいよ、いい よ、僕。誰にだって失敗作くらいある。誰だって失敗作くらい産むさ。「完壁 無用」ってところだね。さて、こんなことしている場合じゃないぞ。まずは豚 肉を切ろうかな。これ、安かったんだよね。うふふふふふ。スーパー「寿美田 屋」で1パック百五十八円で買っちゃったんだよね。うふふふふふふ。特売だ ったんだよね。うふふふふふふふふ。「特売豚肉」だね。でもこれは四字熟語 じゃないよな。うん、ないない。「特売牛肉」でも「特売鳥肉」でも何にでも 使えちゃうもんね。四字だったら何でもいいんじゃね。問題あるよね。でも四 字じゃないといけないのは、どうなのかな。差別じゃないのかな。うーん。こ っちのキャベツも1玉五十円の特売だったんだけど、「特売キャベツ」はだめ なんだよね。仲間外れなんだよね。四字じゃないからね。ふざけるな! って いうべきだよ、お前はね。なぁ、キャベツよ。お前はいうべきだよ。ふざける な! ってね。僕はどうでもいいんだけどね。それでもちょっと義憤は感じた。 53 名前:六畳独間の焼きそば(2) [] 投稿日:03/04/02(水) 00 04 ID B6qcszYB 「義憤空転」。まぁ、それはどうでもいいとしてね。次にはソースを作ってお くんだよね。中華スープを少量に、砂糖と醤油を少々加えて、ケチャップとウ スターソースをドバダバっ、と入れるんだよね。この、ドバダバっ、てのが気 持ちいいな。実は、この作り方で焼きそばを作るのは初めてなんだよね。昨日、 仕事場で、同僚の相崎さんの「女性自身」を読ませてもらってたら、お、「女 性自身」ってのも四字だね、これってあれなのかな、やっぱり、あれなのかな、 男性器のことを「男性自身」っていうようなものなのかな、ああ、ちょっとド キドキするね、まぁ、そのあれだ、その「女性自身」の中に、わぁ、「女性自 身の中」だって、なんだかわくわくしちゃうね、「女自穴中」。ちょっと強引 かな、これは。まぁ、そのあれだ、その雑誌の中に、正しい焼きそばの作り方 の記事がね、載ってたんだよね、それを見てその通りに初めて作るわけだけど、 これでもしもマズいのが出来たら、どうすればいいんだろうね。今まで僕が我 流で作ってた焼きそばのほうがオイシかったりしたら、僕はそれをどう理解し たらいいんだろうね。「正統敗北」「我流勝利」。うふふふ。それはそれでお もしろいかもしれないね。いいぞ、いいぞ。「正統惜敗」「我流圧勝」。どう なるんだろ。どうなるんだろ。ああ、いいね。なんだかわくわくドキドキが大 きくなってきたぞ。「心臓期待」ってところだ。お、いいじゃない。「心臓期 待」。これは今度の入試問題にも使えそうな感じだね。生徒が間違えて「心臓 が期待で膨らむこと」なんて答えてくれそうだね。膨らむんじゃないんだよね。 いつも膨らんでる以上に膨らむわけではないもんね。ただドキドキするだけな のに、「心臓が期待で膨らむこと」だなんて答える生徒はバカだよなぁ、あは あはははは。なんて妄想膨らませても、僕は無職だからちょっとブルーになっ たよ。「青色無職」。さてさて、ゴマ油を少量入れてソースの出来上がりだ。 54 名前:六畳独間の焼きそば(3) [] 投稿日:03/04/02(水) 00 05 ID B6qcszYB 「正統調合」だね。かっこいいね。見とれちゃうね。ほれぼれするね。もしか したら我流、負けるかもね。焼きそば作る前にこんな高揚感、味わったことは なかったもんね。もしかしたら相崎さんの「女性自身」を見て作ってるからド キドキするのかしら。うん、このゴマ油の香りって、ちょっと相崎さんの匂い に似ているかもね。相崎さんの名前は香子なんだよね。いいねいいね。香子い いね。改めてこうやって目の前に字面を思い浮かべてみると、清々しいほどい いね。「香子清風」だね。風だね。ああ香ぐわしいね。ゴマ油って、本当にい いよ。それより香子さんのほうがいいんだけどね。この焼きそばを香子さんと 二人で食べられたらどんなにオイシく感じられるんだろうね。そこの炬燵に二 人で座って、向かい合って同じ正統焼きそばを食べるんだ。見つめあいながら、 炬燵の中で足と足とが触れあって、ああ、いいな。「愛情物語」って感じだね。 なんだかドッグフードにそんなのあったような気がするけどね。「愛情物語」。 ナイスだね。クライマックスを感じるね。葛藤の予感もするのが玉にキズだけ どね。「葛藤玉傷」。でも、あれだね。こんな独り言を書きつけながら、僕は なんだかんだいって独りなんだよね。六畳一間は、独りでは広すぎるんだよね。 「六畳独間」。うーむ何て読むんだろう。今度のテストに難読熟語として提出 してみたいね。さーて、さてさて。ようやく麺を焼くぞ。この麺だけは特売じ ゃなかったんだよね。どこにでも売ってる八十円の蒸し麺。卵の黄色が目に映 えるよね。「女性自身」によると、焼きそばってのは、麺は炒めるんじゃなく て、焼くんだそうだよ。熱したフライパンに、麺を入れて、入れたら、そのま ま、かきまわすんじゃなくて、じっと焼くんだって。我流の僕はかきわまして たんだけどね、かきまわすと麺がべちゃべちゃになっちゃうんだって。でもあ れはあれでオイシかったんだけどね。この僕だからこそ、かきまわしてもオイ シいのが作れたのかもしれないよ。天才の僕だから。なんちゃって。「我流引 水」かな。さーてさてさて。フライパンが煙を吐き出したぞ。「灼熱地獄」な らぬ「灼熱天国」だね。いいね。いかにも熱い料理の始まりってムードだね。 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 厨房哀歌 56 名前:厨房哀歌 [] 投稿日:03/04/02(水) 14 47 ID JfM2oE1E 場所が場所ゆえ 誹謗中傷 暴言巣窟 勝利宣言 隠蔽工作 実は泣いているのさ 自作自演 だれもが俺の敵だ 孤立無援 四面楚歌 自己責任 毛を逆立たせて頑張ってみても 支離滅裂 捏造公演 度を越えた 経歴詐称 バレちまった 無為無職 いつでも俺は 天下無敵 いつも言われる 脳内無敵 じゃあね もう来ないよ 落ち宣言 負犬家路 やっぱりリロード 廃人厨房 厚顔無恥 んーかなりショックだ俺落ち後の 住民発言 嘲笑爆笑 電源切って 布団に入る 我涙濡枕 波に揺られて寝入る 天下夢想 発言削除 はいて捨てたいこの場所から逃げろ 自己厨心 大どんでん返しはきっと来る 妄想爆発 事が事だけ2ch以外に逝く所なし 我故必死 にっちもさっちも動きがとれず 睡眠不足 言動不審 そして俺は叫ぶ 縦 読 気 付 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 二極一対 58 名前:二極一対 [] 投稿日:03/04/02(水) 16 16 ID 7Fyk44nf 二 掛ける 四 東方 西方 南方 北島さぶちゃん 今しばらくは 極端な鼻の穴とパンチパーマ 日本の心知る感じ方 一方 異国情緒ある南の島は 列島のSouth 海鳴り沖縄 対になり混ざる日本文化 模倣が基本 開国 海国文学 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 回転木馬 59 名前:回転木馬 [sage] 投稿日:03/04/02(水) 18 27 ID hi3JaYPH 街の片隅の寂れた遊園地 土埃で汚れた機械達の中に あなたがいた 深い眼差しで景色を眺めるあなたが私の心を捉えるのは時間の問題で 何時しか私はあなたに恋をしていた あなたは何時も私を黙って迎えてくれた ガラス玉の様なその目を覗く度その目は私を映し その時私は始めて満たされる様な そんな気持ちになったのです 優しいあなた 美しいあなた 私はもう恋と言うよりも愛していたのかもしれません 月日は流れます もうあなたはいません 私は今あなたの影を探していくつもの木馬を作っています でもあなたが見えないんです あなたはいないんです 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 現在時刻~面接~ 60 名前:現在時刻~面接~ [] 投稿日:03/04/02(水) 18 51 ID 1gwoQTX2 己自信には説明不要 明日の努力は別名苦悩? 足元スカスカ設定不能 過去の履歴の弁明不毛 してはならぬ宣戦布告 村上みたくキレても一目瞭然、エンセン凄く 退く証言 パラレル 剥がれぬ 周章狼狽 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 彼と彼女 61 名前:彼と彼女 [sage] 投稿日:03/04/03(木) 04 38 ID RwE4AUui …四字熟語中… 二字 一字 二字 一字促音 一字拗音 聞き取れない濁音 不敵な二字促音促音 一字強音促音 飛ぶ鳥を落とす勢いの四字 一字 次 第 に 強 く 気化する無数の字 さりげなく三字 赤子のような二字 また四字熟語ムラムラ 【コメント】 【得点】 0点 ページ:1 2 3 4 ページ先頭へ トップページ
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30◇第二放送 ××××、××××と、 記憶の中のあたしは、ずっと誰かに付いていくだけだった。 トモダチとか、クラスメイトとか、そういう空気から弾かれるのがこわくて、 温かい輪の中に居たいがばかりに冷たいため息をついて、ずっとみんなに同調していた。 完全には覚えていないけれど、たぶん、ずっと仲がいいトモダチの子がいたんだと思う。 嫌われるの、が、こわくて。 そのトモダチが買うものとか、そのトモダチが好きなこととか、共有して、まねっこした。 ××××に、××××。 好きでもない青いドレスをまとって、好きでもない濃いメイクをして、 陰に隠れて堂々と悪口を言って、何人もの人を傷つけて。 認めてもらいたいばかりに、笑い合いたいばかりに、裏ではいつもため息をついていた。 作り物の上辺だけで自分を飾り立ててまで付き合うだなんて、 本当はそんなモノ、トモダチでもなんでもないって、仲間でもなんでもないって分かっていたの。 でもじゃあ、そこから逃げれば良かったのかっていうと、あたしにはできなかった。 あたしは人間で、弱いから。 自分がボロボロに壊れていこうが、ひとりでいるのがさみしかったから。 「――――けほっ。けほっ!」 でもセンくんと出会って、一緒に戦って、なにかが変わった。 本音と別の行動をとるセンくんも、あたしと同じだったからだろうか。 最初あれだけ冷たいことを言ったのに、ずっと助けてくれたからだろうか。 なんだかセンくんだけは本当の仲間って感じがして、 拡声器を使って《ため息》をエリア中に広げて鏡花水月を倒したあのとき、あたしは嬉しかったのだ。 人殺しなんてあたしがやりたくないことの筆頭で、 やりたくないことを誰かのためにするのは、辛いことだと思ってたのに。 何が違うのか。 ××××、××××。 最初は、記憶の中のあたしに聞いても、答えは返ってこなかった。 「――――うぅ、はああっ、はああ!」 ……でも、今なら分かる。 センくんの”最期”を見てしまったあたしの頭が、ようやく正解を導き出してしまったから分かる。 結局、ここに連れてこられる前のあたしは、あたしがかわいいだけだった。 誰かのために自分をギセイにしてる自分に酔っていて、相手の気持ちなんて考えちゃいなかった。 ほんとうはみんなだって、嫌々やってるかもしれないだなんて考えずに。 ただ、バランスボールに乗ったときみたいに、落ちないようにだけ気を付けていたんだ。 だから。 本気で誰かのために、って考えることができたのは。センくんに対してが、初めてだった。 あたしよりもっともっと鉄面皮で、ずっと隠すのが上手くて、きっと心の中で誰よりも葛藤してて。 最後までセンくんは、あたしにさえ全然弱みを見せようとしなかった。 そんなセンくんをあたしは素直にすごいと思った。でも、無理しすぎだとも思った。 せめてそばに誰か一人いて、一緒に仮面をかぶってあげれば、センくんの苦しみも半減するんじゃないか。 あたしは勝手にそう思った。あたしが勝手に。 それがセンくんの負担をさらに増大させてしまったかどうかは、今は考えたくない。 『あー。あー。マイクテスト、マイクテスト。聞こえてたら両手を上げてくださいな♪』 B-2から逃げるあたしをよそに、ぴんぽんぱろんって無駄に軽快な音が鳴って、放送が始まった。 奇々怪々の名を持ったあの白衣の女の人。少し疲れた感じの声。 『はい、はい……どうもありがとうございます、”なに言ってんだこいつ”って顔を確かに頂きました。 その反応が返ってくるということは、この奇々怪々の放送が、 あなた方がいらっしゃる”娯楽施設”に確かに聞こえているという証拠です。良かった、良かった♪ 皆さんお気づきかと思われますが、この度さらに五つの四字熟語が命を落としまして。 第二放送と相成りました。生き残った方々はおめでとうございます。死んだ方々は残念でしたねぇ。 はい。では手短に、死者と禁止エリアの発表といたしましょう。経過時間はま、いいでしょう』 どうせ残りは七人です。時間なんか気にしなくてもすぐ終わるでしょうから、なんて。 皮肉のたっぷりこもったその言葉にあたしは素直にムカついたけど、今はそれより、涙の方が強かった。 泣きながら走ってた。どこへとも知れず走っていた。 『それではまず死者からの発表です。死者は五人。 酒々落々 破顔一笑 軽妙洒脱 鏡花水月 先手必勝 の五名です。今回は男ばかりが死んでいますねえ。前回の放送の効果でしょうか? でも外的要因による干渉は結果に誤差が出て……うーん、前回、余計なことを言ってしまいましたかねぇ』 やっぱりセンくんの名前と、それと鏡花水月の名前が聞こえた瞬間。 何かにつまずいたわけでもないのに、転んだ。 ばたんって倒れて、 首がぐらんって揺れて、一刀両断に斬られた傷口が、こころなしかさらに広がった。 でも不思議と痛みはあんまり感じなくて、ただ悔しさだけがつのる。 だって、こんなところを、喉のあたりを斬られたから、 先手必勝のアッパーで隣のエリア――禁止エリアのB-3まで飛ばされてしまったセンくんに、 あたしはまともに声をかけることができなかったんだから。 先の、最後の一合。 センくんもあたしも、全力で挑んだ。 でも、二人とも虚勢を張るのが上手かった。二人とも分かってた。もう勝てないことは。 尻尾を巻いて逃げるか負けて死ぬ以外の道がないって分かってて、でも馬鹿だから戦ったんだ。 「うぅ……」 『それでは次は禁止エリアの発表です。9エリアあった娯楽施設もこれで5エリアまで減りますよ~』 あたしは拡声器を再度使って、《氷の息吹》を吐いた。 でも一刀両断はあたしの息吹を周りの空気ごと《一刀両断》して、ほとんど凍らずにあたしの下にたどり着いた。 拡声器ごと、あたしは喉を斬られた。あと一歩踏み込まれたら首を斬られてた。 どうにかそうなるまえに一刀両断の足を凍らせることができたのが、あたしにとっての最期の僥倖だった。 でもセンくんは、もう腕を折って、限界だった。 踏み込んでくる切磋琢磨はあたしの《氷のため息》なんてものともせずに、 むしろセンくんが撃った銃弾を、あたしが紆余曲折に着けた《氷のマスク》を使って弾いて、前進した。 一撃入れられてからは、カクトウゲームでいう”ハメわざ”の状態だった。 これでもかというくらいの連撃を喰らって、喰らって、喰らって。 最後のアッパーで宙に浮かんで、さらに追撃も喰らって。車にぶつかってバウンドして、その裏に落ちていった。 その落ちる一瞬前。 あたしが最後にセンくんの顔を見たのは、その瞬間だ。 『今回の禁止エリアは。 B-1 C-3 以上の2エリアです。すでに禁止エリアになっているA-1、B-3と同じく、 一時間の後に禁止エリアになりますので御用がありましたら今のうちに、ですよ。 それでは残り七名の皆様は引き続き、よき殺し合いを♪ 私はポテチを食べます』 センくんはあたしを見て、その目でこう語っていた。 ――あなただけでも逃げてください。 あたしは追いかけて一緒に死んでもよかったのに、そんなことばっかり言って。 もう。 もうどうすればいいのか分からなくて。 立ち上がって走り出した。センくんと逆方向に逃げ出した。 これで良かったのか。あたしの考えは正しかったのか、間違っていたのか。 センくんが死んでしまった今ではもう分からない。 時間が必要だ、そう思う。 喉から流れる血が止まらない現状で――あたしがいつまで生きていられるのかは謎だけど。 絶対にセンくんの分まで生きなきゃ。とにかく生きなきゃ、そう思って、 ぴんぽんぱんぽん、 放送終わりの鐘の音と共に起き上がったあたしは、起き上がってまた走り始めようとして。 「……む?」 顔を上げた先に、動くものがあった。 人だ。 大柄な、 軍帽を被った大男。 いちばん会ってはいけなかった人に、あたしは会ってしまったと、一瞬で分かった。 「おや。何だ」 「……ぁ」 世界がスローモーションになっていく。 目の前のベンチに、そいつはずっと座っていたらしい。 迷彩色の帽子に上着、右手に血まみれの斧を持って、左手に持った何かを眺めていたみたい。 慌てて空間認識を広げると、いつのまにかあたしは走りに走って娯楽施設についていた。 東側、C-2の入口近く。植木で作った簡易的なガーデンのそばに自転車置き場とベンチがあって、 大男はそのベンチに座っていた。 「ぁなタ」 誰、と言おうとしたが、ほとんどの言葉は喉に空いた穴から風に消えて上手く発音されない。 大男はあたしを見てのっそりと立ち上がる。立ち上がるとさらに大きく見えた。 少し悲しげな眼をしているように見えた、けど、気のせいなのかもしれない。 だってその目は明らかにあたしを見ずに――あたしの”首輪”だけを見ていたから。 「何だ」 大男はあたしの首を、 斬られている途中の首を見て、モノでも見るようにしてこう言った。 「首を斬るなら、ちゃんと最期まで斬ればいいものを」 そして、斧を振り上げた。 あたしはそれを呆然と見ていた。 なんというか、あまりに唐突な話で。 恐怖、とか、後悔、とか、考える暇も、涙が止まってたことにも気づかなかった。 「あ……こめンね、センく、n」 でも最後に一言、 そう言うだけの時間が残されていたことには、感謝しようと思う。 ――ざんっ、 って音が聞こえて。あたしの視界は宙を舞った。 くるくるとまるでジェットコースターか何かに乗っているみたいだった。 空はやっぱり薄曇りのままで、ぜんぜん綺麗じゃない。 ため息の一つでもつきたいくらいだ。もう、首と体は離れちゃったから、無理だけど。 【青息吐息:死亡――残り六名】 確定申告(後) 前のお話 次のお話 生員集合 前のお話 四字熟語 次のお話 確定申告(後) 青息吐息 実験終了 焼魚定食 傍若無人 最期通牒 確定申告(後) 奇々怪々 最終戦Ⅰ 用語解説 【××××】 記憶操作の影響を受けた描写に使われている記号。ばつばつばつばつばつ……。 四字熟語ロワの参加者は外的要因によるスタンスの決定を避けるため、 それにかかわる可能性が高い友人・家族・親族の記憶など様々な記憶を操作されている。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
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ゲーム/言語/四字熟語十六択/解答集 [索引|一覧] 四字熟語 説明 暗中模索 意気投合 お互い気持ちが通じ合い、一体感を感じること。 一期一会 一日千秋 一蓮托生 一騎当千 因果応報 雨過天晴 雲散霧消 有象無象 海千山千 栄枯盛衰 英雄欺人 円満具足 往生大事 応病与薬 大盤振舞 盛大に人に物を与えたり、ご馳走をふるまったりすること。 温厚篤実 温故知新 開口一番 快刀乱麻 臥薪嘗胆 花鳥風月 我田引水 画竜点睛 頑固一徹 自分の考えや態度を少しも曲げようとしないで押し通すさま。 冠婚葬祭 完全無欠 どの点から見ても、まったく欠点・不足がなく完璧であること。 閑話休題 危機一髪 起承転結 起で始まり承で受け、転で変化を出し結で終結させる構成方法。 疑心暗鬼 奇想天外 喜怒哀楽 喜び・怒り・哀しみ・楽しみなど~人間の持っている様々な感情。 泣斬馬謖 大きな目的のためには、自分の愛するものも犠牲にするたとえ。 九死一生 死にそうなあぶないところをやっと助かること。 急転直下 事態・情勢が急に変わって物事の解決、決着がつくこと。 鏡花水月 強顔女子 驚天動地 天地を揺り動かす。また、大いに世間を驚かすたとえ。 器用貧乏 協力同心 謹言慎行 空前絶後 群雄割拠 乾坤一擲 豪華絢爛 効果覿面 荒唐無稽 公明正大 国士無双 孤軍奮闘 古今東西 昔から今に来るまで、東方西方あらゆる場所においての意味。 後生大事 いつも心を込めて勤め励むこと。 五臓六腑 五里霧中 言語道断 言葉には言い表せないほど程度がはなはだしく悪いこと。 才色兼備 三顧之礼 目上の人が、ある人に礼を厚くして頼む意。 斬新奇抜 三位一体 自画自賛 試行錯誤 獅子奮迅 自然淘汰 時代錯誤 七転八起 七転八倒 質実剛健 叱咤激励 四面楚歌 弱肉強食 縦横無尽 自由自在でとらわれのないさま。勝手気ままにふるまうようす。 順風満帆 心機一転 あることをきっかけとして、気持ちがすっかり変わること。 神出鬼没 不意に出没して居所のわからないこと。 盛者必衰 思慮分別 いろいろと心を働かせて深く考え、識別し判断を下すこと。 人面獣心 森羅万象 青天白日 心の中が明白で、少しも隠しごとや疑われることがない状態。 清風名月 すがすがしい夜風と明るい月。美しい自然や風雅な遊びを表す。 絶体絶命 千客万来 前人未踏 前途多難 率先垂範 大願成就 願いが遂げられること。 大器晩成 大義名分 大言壮語 大胆不敵 大同小異 少しは違っていても、大体は同じなこと。似たりよったり。 他力本願 単刀直入 前置きや挨拶を抜きにして、直接本題に入り、核心をつくこと。 竹馬之友 適材適所 事柄に適した才能を持つ者に適した地位・任務につけること。 天下太平 得意満面 誇らし気なようすが顔じゅうに満ちていること。 難攻不落 二者択一 二つの事柄のいずれか一方だけを選ぶこと。 日常茶飯 毎日毎日の食事。転じて、あたりまえのこと。 二律背反 年功序列 八方美人 誰にも悪く思われないように要領よくふるまうこと。 半信半疑 美人薄命 容姿が美しい人は、とかく不運であったり、短命であること。 眉目秀麗 百花繚乱 百発百中 品行方正 不言実行 不倶戴天 付和雷同 文明開化 人知が発達し世の中が開けて生活が便利になること。 平穏無事 平身低頭 変幻自在 自分の思い通りに変化したり、現れたり消えたりすること。 茫然自失 本末転倒 三日天下 権力や地位を得た期間のきわめて短いことをいう。 無我夢中 無味乾燥 味わいや面白みがないこと。味もそっけもないこと。 免許皆伝 門外不出 焼肉定食 学校の四字熟語テストで書いたら、間違い扱いでショックでした。 唯一無二 唯我独尊 優柔不断 ぐずぐずしていて決断の遅いこと。決断力に乏しいこと。 油断大敵 用意周到 立身出世 臨機応変 コメント 竹馬の(→之)友とか、普通に四字熟語とは言えないものも結構出てくる。 -- DF (2007-01-06 01 09 00) 七転八○で倒かと思ったら起だった。 -- 名無し (2007-01-09 00 29 09) ○人薄命で、必死に「佳」を探しましたとも。 -- ぺ様 (2007-01-09 01 01 51) 変幻(自)在、大器(晩)成が出ました -- はにわ (2007-01-11 22 33 25) 「鏡花水月」を確認。水が抜けてた。 -- 名無しさん (2007-01-26 04 16 15) 新しい問題出ても、何だったか覚えていない orz 海馬鍛えなきゃ。 -- 計画研究室長敦大 (2007-01-28 01 00 29) 油断大敵、急転直下を確認しました。 -- 名無しさん (2007-01-28 01 46 40) 円(満)具足 - 意味は忘れたが、「満ち足りて~」だったのですぐ解けた。 -- 名無しさん (2007-01-28 22 36 20) 思慮分別 いろいろと心を働かせて深く考え、識別し判断を下すこと。 -- 名無しさん (2007-02-03 20 00 17) 「三顧之礼」の意味:目上の人が、ある人に礼を厚くして頼む意。 -- 名無しさん (2007-02-04 20 34 59) [ -- 名無しさん (2007-02-11 15 25 47) 「荒唐無稽」を確認。意味:無駄なこと、役に立たないこと。 …だったはず。 -- 名無しさん (2007-02-11 15 26 56) 国士無双 -- 主席研究長敦大 (2007-02-15 00 50 51) 「泣斬馬(謖)」を確認。難しすぎ -- T.S (2007-02-19 12 59 58) 七転八○ で伏字「倒」のパターン確認。 -- 計画研究室長敦大 (2007-02-19 22 52 06) 得意満面、言語道断を確認しました。 -- 名無しさん (2007-02-20 16 31 20) 人面獣(心)…人の顔していながら心は獣同然であること。 意味を見れば答えられる問題ですね。栄枯盛(衰)選択肢に「褒」「哀」もあるので注意。 -- 視覚研究室長☆☆☆むらさき (2007-03-05 12 39 24) 雨過天晴(うかてんせい) 「雨過天○」の形で出題あり。 -- 某計画研究室長☆☆@県内2位 (2007-05-25 02 28 41) この解答集いつまで完成しないんですか?放棄するなら別の人に管理させてください。迷惑してます -- 名無しさん (2007-05-28 15 28 03) いや、wikiなんだから管理人でなくてもできるぞ。思いついた人がやりな。 -- 名無しさん (2007-05-28 19 05 47) 某所をアク禁にされたからって荒らさないでくださいね -- 名無しさん (2007-05-28 19 25 02) 起承転結、確認。 -- 名無しさん (2007-06-11 23 25 12) 遭遇したことがある気がするものを追加しました。もしラボには出てこないのあったら指摘よろしく。 -- ☆メガネ (2007-08-09 08 03 44) 「英雄欺人」が出た。分かるかこんなの -- アリエス (2007-08-10 23 55 56) 久しぶりに一覧みたけど、説明入ってないの多かったのね。今度キャプしてみるか。 -- 改(ry (2008-10-12 00 38 11) 名前 コメント
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今日 - 合計 - 合格ボーイシリーズ 学研 四字熟語288の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 16時30分14秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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【Flash】四字熟語FLASH このフラッシュのURLはこちら↓ http //www.gamedesign.jp/flash/yojifla/yojifla.html このタイトルは現在1つの記録方法が存在しています。 ゲームクリア 記録はスタートを押してから7面クリア後に出てくるエンディング画面まで 順位 タイム 日付 配信者名 その他一言 No.1 5 32 2012/01/02 ping値 弥生可愛 No.2 5 44 2011/08/07 629 また今度
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青息吐息 一望千里 一刀両断 紆余曲折 鏡花水月 軽妙洒脱 酒々落々 心機一転 切磋琢磨 先手必勝 猪突猛進 東奔西走 破顔一笑 傍若無人 勇気凛々 優柔不断 焼肉定食 参加者の詳細データ、ルール能力の紹介など 重大なネタバレを含みます! 青息吐息 【熟語】青息吐息 【本名】高崎水花(タカサキ・ミカ) 【性別】女 【年齢】21 【職業】 【特徴】 【好き】 【嫌い】 【特技】 【趣味】 【備考】 【ルール能力】 一望千里 【熟語】一望千里 【本名】野町小草(ノマチ・コグサ) 【性別】女 【年齢】16 【職業】女子高生 【特徴】重たい黒髪ロング、前髪で目を隠してる 【好き】きゅうりの南蛮漬け、歩道橋 【嫌い】ネズミ 【特技】髪の毛占いができる 【趣味】マスキングテープあつめ 【備考】 何の変哲もない、クラスから浮いてしまった女子高生。成績は中の中くらい。 クラス内でのあだなは野草(ノグサ)。もちろん雑草的な意味である。 展望台や歩道橋など、高いところから見る景色が好きで、昼休みの避難場所も屋上だった。 幼なじみで同い年の少年がおり、その非凡な才能に少なからず恋をしていた。告白はしていない。 いつか少年が夢であるルポライターになったら、そっと家事でもしてあげようと考えている。 特技は髪の毛を一本抜いて風に舞わせる髪の毛占い。一時間後の天気が高確率で分かるとか。 【ルール能力】 ――《会場全体を透視することができる》。 シンプルながらもかなりのチート能力。会場が広ければ広いほど多い情報を手に入れられる。 ただ万能ではなく、対照αに対して「見る」か「見ない」かの選択しかできないため、 壁の中や機械の内部構造を暴いたりはできない。衣服は見透かすことができるが、内臓までは見れない感じ。 一刀両断 【熟語】一刀両断 【本名】×××× 【性別】女 【年齢】25 【職業】×××× 【特徴】ジャージに長めのポニテ 【好き】料理全般、読書、バレーボール 【嫌い】部屋の掃除、車の運転 【特技】健康診断 【趣味】ボウリング、お茶 【備考】 (本編での出番終了後に更新) 【ルール能力】 ――《持った刀はすべてを真っ二つにする》。 単純で分かりやすく、かつノーマルに強力なルール能力。 刀に近い形状をしていれば包丁などでも発動可。 なお、手で持っていなければいけないわけではなく、口に咥えようが足で掴もうが発動はする。 紆余曲折 【熟語】紆余曲折 【本名】会木巡(アイキ・ジュン) 【性別】男 【年齢】17 【職業】高校生 【特徴】ぐるぐるお目目に学生服 【好き】卵焼き、プログレ 【嫌い】工事の騒音、お祭りの喧騒 【特技】UFOキャッチャー 【趣味】ソーシャルゲーム 【備考】 (本編での出番終了後に更新) 【ルール能力】 ――《攻撃を4秒間迂回させることが出来る》。 自らに向けられた攻撃の軌道を4秒間のあいだ捻じ曲げるルール能力。 捻じ曲げ中に攻撃の射程距離から逃れるか、攻撃自体を止めれば不発にできるので強力である。 ただ、攻撃を攻撃と認識し、またその対象が自分に向いていなければ発動できない。 そのため、背後からの不意打ちや、音がなく視認もできない攻撃などは曲げられない。 作中で出た《死に急がば回れ》は発動の合図ではなく、自分でつけた能力名。 鏡花水月 【熟語】鏡花水月 【本名】井澄銀且(イスミ・ギンガツ) 【性別】男 【年齢】37 【職業】 【特徴】 【好き】 【嫌い】 【特技】 【趣味】 【備考】 【ルール能力】 軽妙洒脱 【熟語】軽妙洒脱 【本名】軽部洋平(カルベ・ヨウヘイ) 【性別】男 【年齢】43 【職業】場末のバーのショー芸人 【特徴】薄いパイナップルヘア 【好き】コンビニおにぎり 【嫌い】TV芸人 【特技】罵倒を右から左に聞き流すこと 【趣味】動物に話しかける 【備考】 すべてを諦め失敗に慣れてしまった男。負け組を受け入れた、負け人。 場末のショー芸人でくだらないショーをしては罵倒される日々を送っていた。 妻と娘にも逃げられて、秋に紅葉を見ると寂しくて仕方がないのだとか。 ロッテンマイヤーすぐるという芸人を見ると自分との差にみじめな気持ちになってしまう。 【ルール能力】 ――《軽妙》は《傷の痛みを軽くできる》。 どれだけ傷を負っていようと、痛みを最小単位まで減らす能力。 ――《洒脱》は《酒に酔わない》 酒々落々のアルコールを跳ねのけることができるピンポイントメタなルール能力。 酒々落々 【熟語】酒々落々 【本名】長谷川譲句(ハセガワ・ジョウク) 【性別】男 【年齢】31 【職業】会社員 【特徴】恰幅のいい男。真ん中分けの髪はわりと長く、目がくぼんでいる 【好き】日本酒を特に好む。女は尻で選ぶらしい 【嫌い】酒を持ち込めない施設全般と、医者 【特技】酔えば酔うほど頭が回るようになる 【趣味】酒瓶タワー作り 【備考】 「ジョークのような人生」を送ることを信条に、あらゆる苦難をのらくらと躱しつつ酒を飲んで暮らすわるいおじさん。 会社ではコネによりわりと高い地位についておりそれを振りかざして世間的な悪事を行っていた。 ただし行うのは常識の範囲内での悪事のみであり、危ない橋は渡らない主義。 【ルール能力】 ――《酒》は《アルコールを操る》。 酒をラッパ飲みすることで体にアルコールを蓄積、それを任意で《酒の霧》として手から発散、操ることが出来る。 桃色の《酒の霧》は可燃性があり、手で思い切り振り払えば消えてしまう脆弱なものではあるが、 静かに忍び寄り体内に侵入さえすれば脳に到達、マヒさせる代物。量によっては相手を即死に至らせることも可能。 ――《落》は《投げたものを自分の望む場所に落とす》。 この際、望む場所にどのように落とすか……無音で落とすか、激しくぶつけるか、もある程度は操作可能。 ”望む場所”の範囲も点ではなく、半径数メートルの円までなら自由に設定出来る。 落とす対象が動く場合は追尾するが、投げたあとに落とす場所を変更することはできない。 心機一転 【熟語】心機一転 【本名】松平面吾(マツヒラ・メンゴ) 【性別】男 【年齢】23 【職業】株式会社ペリカ・社長 【特徴】もやし系おかっぱ頭のモノクロ服 【好き】ゲーム、漫画、他人の不幸 【嫌い】リア充、ハートフルな話 【特技】レアカードサーチ準一級 【趣味】転売されている商品の転売をして稼ぐ 【備考】 人生を楽して生きる、挫折を知らない新米社会人。頭も機転もそれなりに効いてしまう。 運と環境は常に彼に味方し、思いついたことは実行しても失敗せず、誰からも叱られることなく過ごしてきた。 それゆえにちょっとしたミスや失敗ですぐに我を忘れてしまう。 友人・知人から金を奪って立ち上げた会社は法律のスキマを縫ったりしていい業績を上げており、 大きな破綻が無ければ、あと数年で業界トップに立つことも夢ではなかったようだ。 【ルール能力】 ――《胸に手を当てた参加者のスタンスを180度反転させる》。 対主催であればマーダーになり、逆にどんなマーダーでもこれを喰らえば対主催と化す、 催眠洗脳系のメタ能力である。より正確には、”思っている思考”の反転。 (ちなみに作劇上、反転する思考とかはかなり適当に決めている。面白ければいいのだ) 作中では叶わなかったが、実はもう一度胸に手を当てればルール能力は解除される。 切磋琢磨 【熟語】切磋琢磨 【本名】七車協(ナナグルマ・キョウ) 【性別】男 【年齢】22 【職業】見習いボクサー 【特徴】赤い後ろ髪が少し長い。筋肉質 【好き】鯛の煮付け、少年ジャンプ 【嫌い】国語、英語、化学 【特技】さくらんぼの茎を舌べろで結べる 【趣味】トレーニング 【備考】 (本編での出番終了後に更新) 【ルール能力】 ――《誰かと戦うごとに強くなる》。 他の人と手を合わせることで発動する。同じ人と二回以上戦っても発動しない。 最高で七段階まで鍛錬を経ずに強さ、腕力や勝負勘などを底上げできる。 (発動ごとに虹の七色が彼の身体を包む。赤→朱→黄→黄緑→水色→青→紫) 基礎値が書きかえられるため、発動前に彼から受けた傷が遡って痛み始めることがあるが稀なケースである。 先手必勝 【熟語】先手必勝 【本名】夏目兼士(ナツメ・ケンシ) 【性別】男 【年齢】20 【職業】 【特徴】 【好き】 【嫌い】 【特技】 【趣味】 【備考】 【ルール能力】 猪突猛進 【熟語】猪突猛進 【本名】山田沙也奈(ヤマダ・サヤナ) 【性別】女 【年齢】18 【職業】高校生 【特徴】がたいのいい系女子 【好き】食事すること、編み物 【嫌い】頭の良さそうな都会人、パズル(とくに迷路) 【特技】高速の田植え、数種の動物との会話 【趣味】四つ葉のクローバー探し 【備考】 某県の山間の村に住んでいる少し大柄の女子高生。妙な訛りの使い手。だにぃ。 名高い農家の娘で、村の住民からの評判もいい。高校ではバスケ部の副部長。 村一番の美少女と噂の部長と違ってあんまり女子扱いされないのが目下の悩みだとか。 高校卒業後は地元の農業系大学で環境化学を研究する予定だった。 【ルール能力】 ――《自身をイノシシに変化させることができる》。 発動は意識するだけで行えるが、「超猪突猛進・イノシシ変化」という技名を付けている。 これは、技名を叫ぶことで発動させるようにしないと、イノシシのことをちょっと考えるだけで変化してしまうため。 また、足だけ、手だけ、牙だけなど一部分だけを変化させることも可能。 イノシシ状態のときは喋ることができないが、思考はちゃんと人間並みにある。 それを捨て、脳までイノシシ化することで「超猪突大猛進・獣化激突」を使うことが出来る。 こうなるともう二度と人間には戻れないが、本能で動くため、ただ変化するよりも圧倒的に強い。 東奔西走 【熟語】東奔西走 【本名】東儀次郎(トウギ・ジロウ) 【性別】男 【年齢】58 【職業】四点流の道場師範 【特徴】ヘルメット風の帽子。後ろ髪を長い三つ編みにしている 【好き】教えること、十五茶 【嫌い】力だけで決まってしまうもの 【特技】四点流の技すべて 【趣味】縁側でばあさんとお茶を飲んで一日を過ごす 【備考】 八歳の時に道場の門を叩いてからずっと戦いに明け暮れる日々を送っていた。 その過程で様々な技を身に着け、達人と呼ばれるに至るまで十年もかからなかった神童である。 だが、次第に強さの形に疑問を持ち始め、アラスカでのパラートクとの対戦を機に日本へ帰省。 以後は自ら編み出した四点流の道場を開いてそこに落ち着く。 妻とは十年前に知り合ったため子供はいない。道場の弟子たちを子供のように可愛がっている。 【ルール能力/特技詳細】 ――《東西にしか移動できない》。 自分では東西にしか歩くことが出来ない。四字熟語ロワでは数少ないデメリット能力。 初期位置がB-3だったため、誰とも出会わなければA-3~C-3までの3エリアしか動けないところだった。 誰かにおぶって貰えば移動が可能。ただ、その場合東奔西走自身の格闘術はほぼ使えない。 特技たる四点流闘術は「待機、突進、防御、そして爆発」の四つの型を基本とする。 本編では二の型、突進の発展技「飛車駒突き」で切磋琢磨を0.5エリア弱(50mくらい)飛ばした。 他にも「待機発展・穴熊」、「防御発展・金銀掌」など十の技を持つらしい。 破顔一笑 【熟語】破顔一笑 【本名】妃護竜一(ヒゴ・リュウイチ) 【性別】男 【年齢】26 【職業】ボディーガード 【特徴】黒スーツ、坊主頭 【好き】鳥肉料理 【嫌い】豚肉料理 【特技】頭の上にボールを乗せたまま歩く 【趣味】クレー射撃 【備考】 協会に所属している雇われのボディーガード。仕事が無いときは塾の講師をしている。 ボディーガードとしての実力は確かで、とくに多人数戦闘においては比肩する者がいなかった。 相手の武器を逆に利用して戦うことから、付いた通り名は傷返しの竜。 ロワに連れ去られた時はある財閥のご令嬢を三か月契約でボディーガードしていた。 【ルール能力】 ――《にやけ顔を見せると相手の顔がびりびりと破れる》。 もとい、自分でも気付かない内にデフォルトの表情がにやけ顔になってしまうルール。 一望千里のメタ能力になっているだけでなく、このロワのほぼ全ての参加者を、 ”顔を合わせるだけで”戦闘不能にするという恐ろしいルール能力である。 二人以上に一度に顔を見せた場合でも、二人とも顔が破れる。ガラスや鏡に映った顔を見てもアウト。 傍若無人 【熟語】傍若無人 【本名】×××× 【性別】男 【年齢】34 【職業】陸上自衛官 【特徴】迷彩軍式衣装、2mを超える大男 【好き】マーマレード・パイ 【嫌い】料理 【特技】なし 【趣味】なし 【備考】 ×××××××××××××××××××××× ×××××××××××××××××××××××× ×××××××××××××××× ××××××××××××××××××××××××××××××××。 【ルール能力】 ――《傍らから人の姿が無くなる》。 自分の視界に移る参加者の、首輪と武器以外が見えなくなってしまうルール能力。 カメラや鏡の反射などにも適用され、傍若無人はひどく少ない情報量での戦いを強いられていた。 天敵は鏡花水月。彼に自らの幻想を首輪付きで想造されたら詰みであった。 逆に、他のすべての参加者を一瞬で戦闘不能に追い込める破顔一笑の能力は封じることができる。 勇気凛々 【熟語】勇気凛々 【本名】×××× 【性別】女 【年齢】14 【職業】中学生 【特徴】明るい茶色のお下げ髪。大きな髪留めが鈴みたい。 【好き】みかんのショートケーキ 【嫌い】身長でバカにされること 【特技】なし 【趣味】なし 【備考】 (本編での出番終了後に更新) 【ルール能力】 ――《勇気を出すとりんりんソードを具現化できる》。 シンプルなルール能力ながら使い勝手はいい。《りんりんソード》は切れ味の落ちない長剣で、 勇気凛々自身はとても軽く扱えるが、他の人が持つと途端に扱えないほど重くなる。 任意で出現・消滅が可能。唯一、勇気が出せないと使えないのが欠点と言えば欠点。 優柔不断 【熟語】優柔不断 【本名】市ノ丸優斗(シノマル・ユウト) 【性別】男 【年齢】19 【職業】フリーター 【特徴】遊んでそうな服装、ワックスキメた髪 【好き】ライトノベル「カミナリ」シリーズ 【嫌い】日曜が月曜になる瞬間 【特技】無意味な長話 【趣味】ゲーム実況、カラオケ 【備考】 最近よくあるネット・アニメ・ゲームにも通じるタイプのファッションリア充もどき。 ネットカフェでバイトし、サボるのが日常。 ゲーム実況者になってみたり歌い手になってみたりしたが長続きはしなかった。 生主になってみて初めてのオフ会へ向かう電車の中で眠りこけてしまい、気づけば娯楽施設に。 【ルール能力】 ――《刃物を通さない》。 刃と定義されていさえすれば何でも通さない、というかすり抜けさせる身体を持つ。 カッターの刃からギロチンまで通さない。触れることすらないので、触れることで発動するルール能力 (一刀両断や蟷螂の斧)を受けることもない。風の刃や、ブリーチみたいな衝撃波の場合も通さないらしい。 焼肉定食 【熟語】焼肉定食 【本名】火邦正志(ヒクニ・マサシ) 【性別】男 【年齢】27 【職業】焼肉屋チェーン店の店長 【特徴】隈のある目、バンダナ 【好き】お客様の笑顔 【嫌い】上司の無茶な要求 【特技】聖徳太子式注文拝聴術 【趣味】快適な枕探し 【備考】 どこにでもいる苦労人の飲食店店長。あるはずの休日が無いので怒りっぽくなっている。 【ルール能力】 ――《なし》。 この時期の幻想言語学者側にはまだ、一般に四字熟語と認識されていない四字熟語から 解釈能力をしたためることは不可能であった。仮に今後出来るようになるとしても、 意味として事象・現象・形象・心象などではなく具象でしかないこの熟語では超解釈も難しく、 出来そこないのルール能力しか生まれ得ないと思われる。 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
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30◇第二放送 ××××、××××と、 記憶の中のあたしは、ずっと誰かに付いていくだけだった。 トモダチとか、クラスメイトとか、そういう空気から弾かれるのがこわくて、 温かい輪の中に居たいがばかりに冷たいため息をついて、ずっとみんなに同調していた。 完全には覚えていないけれど、たぶん、ずっと仲がいいトモダチの子がいたんだと思う。 嫌われるの、が、こわくて。 そのトモダチが買うものとか、そのトモダチが好きなこととか、共有して、まねっこした。 ××××に、××××。 好きでもない青いドレスをまとって、好きでもない濃いメイクをして、 陰に隠れて堂々と悪口を言って、何人もの人を傷つけて。 認めてもらいたいばかりに、笑い合いたいばかりに、裏ではいつもため息をついていた。 作り物の上辺だけで自分を飾り立ててまで付き合うだなんて、 本当はそんなモノ、トモダチでもなんでもないって、仲間でもなんでもないって分かっていたの。 でもじゃあ、そこから逃げれば良かったのかっていうと、あたしにはできなかった。 あたしは人間で、弱いから。 自分がボロボロに壊れていこうが、ひとりでいるのがさみしかったから。 「――――けほっ。けほっ!」 でもセンくんと出会って、一緒に戦って、なにかが変わった。 本音と別の行動をとるセンくんも、あたしと同じだったからだろうか。 最初あれだけ冷たいことを言ったのに、ずっと助けてくれたからだろうか。 なんだかセンくんだけは本当の仲間って感じがして、 拡声器を使って《ため息》をエリア中に広げて鏡花水月を倒したあのとき、あたしは嬉しかったのだ。 人殺しなんてあたしがやりたくないことの筆頭で、 やりたくないことを誰かのためにするのは、辛いことだと思ってたのに。 何が違うのか。 ××××、××××。 最初は、記憶の中のあたしに聞いても、答えは返ってこなかった。 「――――うぅ、はああっ、はああ!」 ……でも、今なら分かる。 センくんの”最期”を見てしまったあたしの頭が、ようやく正解を導き出してしまったから分かる。 結局、ここに連れてこられる前のあたしは、あたしがかわいいだけだった。 誰かのために自分をギセイにしてる自分に酔っていて、相手の気持ちなんて考えちゃいなかった。 ほんとうはみんなだって、嫌々やってるかもしれないだなんて考えずに。 ただ、バランスボールに乗ったときみたいに、落ちないようにだけ気を付けていたんだ。 だから。 本気で誰かのために、って考えることができたのは。センくんに対してが、初めてだった。 あたしよりもっともっと鉄面皮で、ずっと隠すのが上手くて、きっと心の中で誰よりも葛藤してて。 最後までセンくんは、あたしにさえ全然弱みを見せようとしなかった。 そんなセンくんをあたしは素直にすごいと思った。でも、無理しすぎだとも思った。 せめてそばに誰か一人いて、一緒に仮面をかぶってあげれば、センくんの苦しみも半減するんじゃないか。 あたしは勝手にそう思った。あたしが勝手に。 それがセンくんの負担をさらに増大させてしまったかどうかは、今は考えたくない。 『あー。あー。マイクテスト、マイクテスト。聞こえてたら両手を上げてくださいな♪』 B-2から逃げるあたしをよそに、ぴんぽんぱろんって無駄に軽快な音が鳴って、放送が始まった。 奇々怪々の名を持ったあの白衣の女の人。少し疲れた感じの声。 『はい、はい……どうもありがとうございます、”なに言ってんだこいつ”って顔を確かに頂きました。 その反応が返ってくるということは、この奇々怪々の放送が、 あなた方がいらっしゃる”娯楽施設”に確かに聞こえているという証拠です。良かった、良かった♪ 皆さんお気づきかと思われますが、この度さらに五つの四字熟語が命を落としまして。 第二放送と相成りました。生き残った方々はおめでとうございます。死んだ方々は残念でしたねぇ。 はい。では手短に、死者と禁止エリアの発表といたしましょう。経過時間はま、いいでしょう』 どうせ残りは七人です。時間なんか気にしなくてもすぐ終わるでしょうから、なんて。 皮肉のたっぷりこもったその言葉にあたしは素直にムカついたけど、今はそれより、涙の方が強かった。 泣きながら走ってた。どこへとも知れず走っていた。 『それではまず死者からの発表です。死者は五人。 酒々落々 破顔一笑 軽妙洒脱 鏡花水月 先手必勝 の五名です。今回は男ばかりが死んでいますねえ。前回の放送の効果でしょうか? でも外的要因による干渉は結果に誤差が出て……うーん、前回、余計なことを言ってしまいましたかねぇ』 やっぱりセンくんの名前と、それと鏡花水月の名前が聞こえた瞬間。 何かにつまずいたわけでもないのに、転んだ。 ばたんって倒れて、 首がぐらんって揺れて、一刀両断に斬られた傷口が、こころなしかさらに広がった。 でも不思議と痛みはあんまり感じなくて、ただ悔しさだけがつのる。 だって、こんなところを、喉のあたりを斬られたから、 先手必勝のアッパーで隣のエリア――禁止エリアのB-3まで飛ばされてしまったセンくんに、 あたしはまともに声をかけることができなかったんだから。 先の、最後の一合。 センくんもあたしも、全力で挑んだ。 でも、二人とも虚勢を張るのが上手かった。二人とも分かってた。もう勝てないことは。 尻尾を巻いて逃げるか負けて死ぬ以外の道がないって分かってて、でも馬鹿だから戦ったんだ。 「うぅ……」 『それでは次は禁止エリアの発表です。9エリアあった娯楽施設もこれで5エリアまで減りますよ~』 あたしは拡声器を再度使って、《氷の息吹》を吐いた。 でも一刀両断はあたしの息吹を周りの空気ごと《一刀両断》して、ほとんど凍らずにあたしの下にたどり着いた。 拡声器ごと、あたしは喉を斬られた。あと一歩踏み込まれたら首を斬られてた。 どうにかそうなるまえに一刀両断の足を凍らせることができたのが、あたしにとっての最期の僥倖だった。 でもセンくんは、もう腕を折って、限界だった。 踏み込んでくる切磋琢磨はあたしの《氷のため息》なんてものともせずに、 むしろセンくんが撃った銃弾を、あたしが紆余曲折に着けた《氷のマスク》を使って弾いて、前進した。 一撃入れられてからは、カクトウゲームでいう”ハメわざ”の状態だった。 これでもかというくらいの連撃を喰らって、喰らって、喰らって。 最後のアッパーで宙に浮かんで、さらに追撃も喰らって。車にぶつかってバウンドして、その裏に落ちていった。 その落ちる一瞬前。 あたしが最後にセンくんの顔を見たのは、その瞬間だ。 『今回の禁止エリアは。 B-1 C-3 以上の2エリアです。すでに禁止エリアになっているA-1、B-3と同じく、 一時間の後に禁止エリアになりますので御用がありましたら今のうちに、ですよ。 それでは残り七名の皆様は引き続き、よき殺し合いを♪ 私はポテチを食べます』 センくんはあたしを見て、その目でこう語っていた。 ――あなただけでも逃げてください。 あたしは追いかけて一緒に死んでもよかったのに、そんなことばっかり言って。 もう。 もうどうすればいいのか分からなくて。 立ち上がって走り出した。センくんと逆方向に逃げ出した。 これで良かったのか。あたしの考えは正しかったのか、間違っていたのか。 センくんが死んでしまった今ではもう分からない。 時間が必要だ、そう思う。 喉から流れる血が止まらない現状で――あたしがいつまで生きていられるのかは謎だけど。 絶対にセンくんの分まで生きなきゃ。とにかく生きなきゃ、そう思って、 ぴんぽんぱんぽん、 放送終わりの鐘の音と共に起き上がったあたしは、起き上がってまた走り始めようとして。 「……む?」 顔を上げた先に、動くものがあった。 人だ。 大柄な、 軍帽を被った大男。 いちばん会ってはいけなかった人に、あたしは会ってしまったと、一瞬で分かった。 「おや。何だ」 「……ぁ」 世界がスローモーションになっていく。 目の前のベンチに、そいつはずっと座っていたらしい。 迷彩色の帽子に上着、右手に血まみれの斧を持って、左手に持った何かを眺めていたみたい。 慌てて空間認識を広げると、いつのまにかあたしは走りに走って娯楽施設についていた。 東側、C-2の入口近く。植木で作った簡易的なガーデンのそばに自転車置き場とベンチがあって、 大男はそのベンチに座っていた。 「ぁなタ」 誰、と言おうとしたが、ほとんどの言葉は喉に空いた穴から風に消えて上手く発音されない。 大男はあたしを見てのっそりと立ち上がる。立ち上がるとさらに大きく見えた。 少し悲しげな眼をしているように見えた、けど、気のせいなのかもしれない。 だってその目は明らかにあたしを見ずに――あたしの”首輪”だけを見ていたから。 「何だ」 大男はあたしの首を、 斬られている途中の首を見て、モノでも見るようにしてこう言った。 「首を斬るなら、ちゃんと最期まで斬ればいいものを」 そして、斧を振り上げた。 あたしはそれを呆然と見ていた。 なんというか、あまりに唐突な話で。 恐怖、とか、後悔、とか、考える暇も、涙が止まってたことにも気づかなかった。 「あ……こめンね、センく、n」 でも最後に一言、 そう言うだけの時間が残されていたことには、感謝しようと思う。 ――ざんっ、 って音が聞こえて。あたしの視界は宙を舞った。 くるくるとまるでジェットコースターか何かに乗っているみたいだった。 空はやっぱり薄曇りのままで、ぜんぜん綺麗じゃない。 ため息の一つでもつきたいくらいだ。もう、首と体は離れちゃったから、無理だけど。 【青息吐息:死亡――残り六名】 確定申告 前のお話 次のお話 生員集合 前のお話 四字熟語 次のお話 確定申告 青息吐息 実験終了 焼魚定食 傍若無人 [[]] 用語解説 【××××】 記憶操作の影響を受けた描写に使われている記号。ばつばつばつばつばつ……。 四字熟語ロワの参加者は外的要因によるスタンスの決定を避けるため、 それにかかわる可能性が高い友人・家族・親族の記憶など様々な記憶を操作されている